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GDPについて分かりやすく解説(2)

今回は、前回GDPの定義について解説させていただきましたが、その続きということで、前回記載した目次の2. GDP恒等式について説明してまいります。

 

2. GDP恒等式

 

 とはいうものの、特別高度なテクニックを使用するわけでもなく、言われてみれば当然だなというような知識ですので、ハードルを下げて気楽にご覧いただければと思います。

 

 前回の復習ですが、GDPとは、「ある一定期間内に新たに創出された付加価値」のことでした。つまり、どれだけのモノやサービスが「つくられた」のかということです。この量は、どれだけの「支出」があったかを計算することによっても算出が可能です。なぜなら、つくられたモノやサービスは必ず誰かに購入されるからです。したがって、誰が支出をするのか、その登場人物を漏れなく列挙することができれば、GDPを算出できそうです。

 

 GDPとは国内における生産量ではありますが、どれだけの支出が行われたかの量を計算することによっても算出することができます。なぜなら、生産したモノやサービスは必ず誰かに購入されるはずだからであり、一国内で行われる最終生産物への支出を合計すれば、必ずGDPに等しくなるはずです。

 

 まず、分かりやすい要素を挙げるなら、企業と家計でしょう。家計とは企業以外の民間のことです。我々?のような一般消費者のことを指しています。他には、もう一つ政府があります。実は、政府は経済の中ではモノやサービスをつくらない中立的な立場であるため、GDPに関連する登場人物として適切かというと疑問符がつきますが(政府は企業に公共事業という形で需要を作り出し、対価としてお金を支払いますが、その成果物であるモノやサービスをつくるのは政府ではなく企業であるため、GDPの定義上、登場人物にカウントできるのかグレーでは?という意味です。)、動かす金額があまりにも巨額であり、無視できない存在であるため、政府もカウントします。最後に、見落としそうになりますが、当然日本国内でつくられたモノやサービスは国外にも輸出したり、あるいはその逆に国外から輸入があるという観点も考えると、外国も登場人物の1人です。つまり、以下の式が成立すると言えます。

 

 GDP = 家計の支出+企業の支出+政府の支出+外国の支出  (1)

 

 これら4つの主体においては、たとえ同じ支出であっても、その目的が異なるため、主体毎に分類して考えます。例えば、チョコレートを購入するとして、家計がチョコレートを購入する目的は「消費」するためでしょうし、企業は需要に備えて在庫として倉庫に貯蔵する目的で購入します。この企業による支出を「投資」と言います。また、政府はチョコレート産業を推進する目的で支出するでしょう。人気が出てきて国外にまで有名になれば、外国からの需要も見込めるでしょう。したがって、これら用語を用いれば以下の定義が導出できます。

 

    消費C(Comsumption)  =  家計の支出

 投資I(Investment)  =  企業の支出

    政府支出G(Goverment Expenditure)  =  政府の支出 

    経常収支CA(Current Account)  =  外国の支出

 

 これらの定義により、上記(1)式は以下(2) 式のように書き換えることが可能です。

 

 GDP(Y) =消費C+投資I+政府支出G+経常収支CA  (2)

※ GDPは通常、Yで表現されます。

 

 生産されたものは全て購入されると表現すると、「売れ残ることもあるだろう!」という反論もありそうです。もしそうであるならば、一部が購入されないため、全支出額が生産額に等しくならないという反論です。しかし、その場合は、企業が在庫として、不測の事態に備えて自ら余分に購入したと考えます。つまり、売れ残った支出額分は企業が自ら購入したと考えて会計処理をします。

 

 また、支出額が国内総生産額に相当すると言いますが、家計や企業は国内の生産物のみに支出している訳ではなく、国外のモノやサービスも購入しています。そうすると、国外分への支出額分は合計金額から差し引かなければ、その分だけ国内生産額を超過してしまいます。つまり、経常収支 CAは国内から国外に輸出する額から国外から国内に輸入する額を差し引いた金額(これを外国の純支出とも言います)で算出するということです。これら表現を用いると(2)式は以下の様に表現し直すことが可能です。

 

  GDP(Y) = 消費C+投資I+政府支出G+経常収支CA

                   = 消費C+投資I+政府支出G+輸出(EX)-輸入(IM)

                   = 消費C+投資I+政府支出G+外国の純支出

 

 さらに、言葉を取り払い、純粋に文字のみで表現すると以下になります。

 

  Y = C+I+G+CA (3)

 

 さらに、この式(3)は以下式(4)の様に変形可能です。

 

  Y-(C+I+G) = (C+I+G)+CA-(C+I+G)

     Y-(C+I+G) CA  (4)

 

 この式(4)について解釈を試みます。Yとは総生産、C+I+Gとは家計の支出、企業の支出、政府の支出の合計額、CAは経常収支のことです。したがって、式(4)は「国内の総生産から家計と企業と政府の支出の合計額を差し引くと、経常収支に等しい」という意味になります。

 

 この式から貿易赤字や黒字という概念について考えることができそうです。

 

今回の解説は一旦以上として、次回は経常収支について詳細に分析することで、貿易赤字や黒字について考えることにしましょう。

ここまで長文ご覧いただきありがとうございました。

また、次回以降もよろしくお願いいたします。