国際収支について分かりやすく解説
本日も経済について解説してまいります。
今回は経常収支について解説すると前回予告しておりましたので、経常収支の関連知識について説明していきます。
ここで、前回登場したGDPについての恒等式を式(1)として記載します。
Y = C+I+G+CA
両辺から税金Tを差し引きます。
Y-T= C+I+G+CA-T
このY-Tは給与の額面支給額(名目賃金)から税金や社会保険料を差し引き、実際に家計が使用できる所得を指します。ちなみに、この給与の額面支給額は馴染み深い「収入」といい、収入から経費を差し引いたものを「所得」といい、用語の定義が異なることは豆知識です。さらに、式変形をして整理していきます。
Y-T-C= I+G+CA-T
(Y-T)-C = I+(G-T)+CA (1)
家計については、可処分所得から消費Cを差し引いた残りが貯金となります。これを「貯蓄」と呼びます。さらに政府支出Gは政府から出て行くお金(歳出)であるのに対して、税金は政府に入って行くお金(歳入)です。この歳出と歳入の差を「財政赤字」と言います。これらを踏まえると、式(1)は下記の様に表現可能です。
貯蓄 = 投資+ 財政赤字 + 経常収支 (2)
改めて復習です。経常収支とはモノやサービスを国内外でやりとりする際に、輸出額が輸入額をどの程度超過かを表す指標です。要は、モノやサービスを売ることで、どれくらい外国から外貨をゲットできたか、儲けられたかを表すということです。この国家間でのモノやサービスの取引額や詳細内訳の記録を「国際収支」といいます。国家間ではモノやサービス以外にも、資産や資本など、つまり株や不動産などのやり取りもしますね。この取引額を「資本収支」といいます。つまり、国際収支額は経常収支と資本移転等収支の合計で表現できます。かつ、この合計金額は日本国内に流入した外貨準備増減に等しいため、以下式(3)の様に表現できます。
国際収支 = 経常収支 + 資本収支 = 外貨準備増減 (3)
この経常収支にはさらに以下4つに分割することが可能です。
1) 貿易収支 → モノやサービスの輸出額から輸入額を差し引いたもの
2) サービス収支 → 外国の観光客が自国内で支払ったサービス代金から自国の観光
客が外国で支払ったサービス代金を差し引いたもの
3) 所得収支 → 自国が外国から得た配当や金利より自国内から外国に支払った配
当や金利を差し引いたもの
4) 経常移転収支 → 外国から自国に援助をもらった金額から自国から外国に援助
をした金額を差し引いたもの
しかし、平成26年に計算式の改訂が行われたため、これらの定義に一部変更が出ました。上記4つに関しては、1)と2)は統合されて、貿易・サービス収支に、3)所得収支は第二所得収支に、経常移転収支の内、外国政府の固定資本形成に対する援助を除外したものを第三次所得収支と呼ぶこととなりました。一方、外国政府の固定資本形成に対する援助は資本移転等収支と変更になりました。
国際収支 = 経常収支 + 資本移転等収支 = 金融収支 (4)
では、一旦ここで終わりにいたしまして、次回は国際収支とマネーストックの増減について解説したいと思います。※ 私が参考にしておりますサイトの解説版という位置付けです。
今回もご覧いただきありがとうございました。
また、次回以降もよろしくお願いいたします。